大学生47人が指名、高校時代は目立たなかった3人
今年のドラフト会議では支配下・育成あわせて127人が指名され、そのうち47人(支配下34人、育成13人)が大学生だった。1位指名も12球団中9人が大学生だった。
高校野球の取材を続ける河嶋宗一氏のコラムは、この47人の中から、高校時代はあまり目立たなかったものの大学4年間で大きく伸びてプロ入りした3人を取り上げている。オリックス3位の春山陽登外野手(大阪商業大)、ソフトバンク4位の藤森康淳外野手(法政大)、巨人6位の松平快聖投手(神奈川大)だ。3人に共通するのは、高校時代から持っていた長所を大学で失わずに伸ばしたことだという。
オリックス3位・春山陽登 好打者からスラッガーへ
春山は敦賀気比高時代、2年秋の明治神宮大会で大阪桐蔭のエース・川原嗣貴(現Honda鈴鹿)から痛烈な左越え二塁打を放っている。合理的なスイング軌道とスイングスピードは早くから光っていたが、3年春のセンバツは無安打、夏の甲子園は10打数4安打。当時は「すぐにプロ」というより、大学で一歩ずつステップアップしていくタイプと見られていた。
変わったのは大阪商業大2年秋。打率.424、4本塁打、14打点と打ちまくり、2学年上の渡部聖弥(現西武)とともに本塁打を量産して注目を集めた。体は筋肉質にビルドアップされ、スイングスピードも格段に上がった。関西の記者によると、構えたときのスタンスの幅を狭めたことで、ボールを遠くへ飛ばす感覚をつかんだという。
それでも高校時代からのミートの良さは失わなかった。選球眼も高く、2025年秋と2026年春のリーグ戦では出塁率5割以上。最後は関西六大学リーグ記録を更新する通算13本塁打まで伸ばした。コラムは「単なる荒削りな大砲タイプであったならば、指名は厳しかったかもしれない」とし、首位打者の頓宮裕真らを育てたオリックスで右の強打者として伸びることに期待を寄せている。春山の指名後の様子はオリックス3位・春山陽登の記事で紹介している。
ソフトバンク4位・藤森康淳 速球に振り負けない対応力と脚
藤森の天理高時代の同期には、のちに阪神に入る戸井零士がいた。当時は大型遊撃手の戸井が注目を集め、藤森はまだプロを狙える段階ではなかったが、「速球投手に振り負けない対応力」と「抜群の脚」の2つが光っていた。
コラムの筆者が強く覚えているのは、2022年の愛知招待試合の享栄戦。相手先発は最速149キロ左腕の東松快征(現オリックス)だったが、藤森はその速球をしっかり引っ張り、二塁打と三塁打を放った。その年にU-18日本代表に選ばれ、法政大へ進学した。
法大では3年秋に首位打者を獲得し、4年時は主将を務めた。東京六大学リーグでは通算99安打、21盗塁。100安打にはあと1本届かなかったが(ソフトバンク4位・藤森康淳の記事)、力強く引っ張るだけでなく、状況に応じて流し打ちもできる打者になった。コラムは、日本シリーズで速い球を引っ張って外野を破った庄子雄大のように、俊足巧打の選手を育てるソフトバンクで同じ成長曲線を描くことに期待している。
巨人6位・松平快聖 190センチ超のサブマリン
松平は市原中央高2年秋(2021年)の千葉県大会準決勝・拓大紅陵戦で、7回まで無失点に抑えた(8回に3点を失い逆転負け)。当時から190センチの長身を折り曲げて投げる直球は120キロ台後半を計測し、高校生のアンダースローの平均とされる120キロ前後より5キロほど速かった。手元でブレーキのかかるスライダーにも、空振りや凡フライが続いた。
対戦した拓大紅陵の打者は「190センチもあるのにあんなに低い位置からリリースされるので、本当に打ちにくい」と話し、当時の和田孝志監督(元ロッテ投手)も「190センチのサブマリンなんて滅多にいない。プロを十分に狙える投手」と絶賛していた。
神奈川大でも着実に力を伸ばし、大学日本代表候補の強化合宿ではテンポの良い投球で強打者を打ち取った。最速は142キロまで上がり、高校時代からの「打ちづらさ」を保ったままスケールアップした。指名直後の本人の言葉は巨人6位・松平快聖の記事にまとめている。
選手プロフィール
| 選手 | 指名 | 位置 | 投打 | 身長/体重 | 経歴 |
|---|---|---|---|---|---|
| 春山陽登 | オリックス3位 | 外野手 | 右投右打 | 178cm/90kg | 敦賀気比高→大阪商業大 |
| 藤森康淳 | ソフトバンク4位 | 外野手 | 右投左打 | 170cm/68kg | 天理高→法政大 |
| 松平快聖 | 巨人6位 | 投手 | 右投右打 | 192cm/94kg | 市原中央高→神奈川大 |