ドラフト2日前、1位を公表した球団はゼロ
22日のドラフト会議を前に、20日の時点で1位指名を事前に公表した球団が1つもない。日刊スポーツと中日スポーツが報じた。昨年は西武、巨人、広島の3球団が事前に公表しており、4年続けて公表してきた広島も今年は発表を控えている。このまま当日を迎えれば、2013年以来13年ぶりの「公表ゼロ」となる。
セ・リーグのあるスカウトは「たしかに何でなんだろうね。俺も知りたいよ」と話しており、現場でも理由ははっきりしていないようだ。
「1位候補が少ない年は公表のメリットが薄い」
1位の事前公表には、選手側に球団の誠意を示すことと、他球団をけん制して競合を避けることの2つの狙いがある。ただ、ある球団関係者は、今年は1位に値する選手が12人そろわないとみており、「言おうが、言うまいが競合は避けられないなら、あえて言う必要はない」と話した。
あるパ・リーグ球団のスカウトも「今年は好選手がそろっているように見えて、実際は決め手に欠く」と打ち明ける。公表すれば後から変えられないため、慎重になる球団が多いとみられる。
織田翔希の米国挑戦で方針変更も
今年ならではの事情として挙がるのが、横浜高・織田翔希投手の進路だ。最速157キロ右腕は15日の会見で、NPBを経ずにアメリカで挑戦する意向を表明した。マイナー契約に加えて、米国の大学への進学も視野に入れている。
パ・リーグ球団のスカウトは「1位指名を変える動きが出てきて、対応に追われた球団もありそう」と話す。中日の元スカウト部長・中田宗男さんも、織田を1位で考えていた球団は方針が大きく変わり、最終決定が直前になる可能性を指摘した。例年早めに公表する球団が、織田の会見前に別の選手の1位を公言するのを控えた、という見方もある。
織田については強行指名の可能性もささやかれるが、「昔のようなやり方をすると、ネットでたたかれて球団のイメージに傷が付く」と心配する声も出ている。
捕手の1位候補・渡部海の存在も
もう1つの要因として中田さんが挙げたのが、青山学院大・渡部海捕手の存在だ。即戦力の捕手が1位候補に挙がるのは珍しく、「捕手が欲しいけど、多くの球団が競合する可能性があるなら、逆に投手の単独狙いに方針転換することもありうる」と分析。そのときに動きやすくするため、公表を控えている可能性があるという。
さらに、抽選を外したときに「外れ1位」を他球団に読まれないよう、あえて伏せる考え方もあると説明した。19日には1位候補に挙がる慶應義塾大の左腕・渡辺和大投手が試合中に緊急降板するアクシデントもあり、各球団は直前まで判断を迫られそうだ。
一方で中田さんは「どこも言わないから言わないだけで、実際には特別な理由はないかもしれない」とも話している。
前回の「公表ゼロ」は2013年
事前公表した球団がなかったのは2013年が最後。この年は桐光学園・松井裕樹に5球団が競合して楽天が交渉権を獲得し、九州共立大・大瀬良大地は3球団の抽選で広島が引き当てた。1位指名12人のうち大学生が3人、社会人が5人と、即戦力が中心のドラフトだった。