広島東洋カープ 戦力分析 | ドラフトに向けた補強ポイントを徹底整理
投手力ではリーグ屈指の強さを誇りながら、なぜ広島東洋カープはセ・リーグ5位に低迷しているのか。今回はドラフトに向けて、投手から野手までポジションごとに現状を整理し、どこに穴があり、今年のドラフトでどこを補強すべきかを分析します。先日行われた2回目のスカウト会議の情報も交えつつ、最後に5段階評価での補強優先度ランキングと、理想のドラフト案までまとめました。
チーム全体の現状

61試合を終えて23勝35敗3分(勝率.397)、借金12を抱えてセ・リーグ5位に低迷しています。ただ、その中身を見るとカープの特徴がはっきり表れています(詳しい数字は上の図をご覧ください)。
まず投手陣はリーグ最強。チーム防御率2.88・先発防御率2.78を筆頭に、FIP・被打率・被本塁打率と、失点に絡む指標のほとんどでリーグトップに立っています。唯一の特徴は奪三振の少なさ(K%最下位)で、三振でねじ伏せるより、打たせて取り守りで抑える野球が徹底されています。
一方で打線はリーグ最下位。打率・出塁率・OPS・長打率・得点・得点圏打率と、打撃のほとんどの項目で6位に沈み、長打力・得点力が深刻に不足しています。救いは三振の少なさ(コンタクト能力)と、盗塁リーグ3位の機動力くらい。
リーグ最強の投手陣を、リーグ最下位の打線が台無しにしている。 これが借金12を抱えて低迷する今のカープの正体です。
だからこそ補強ポイントもはっきりしています。ここからポジションごとに掘り下げていきましょう。
先発投手 | 補強優先度:B

まずは強みである先発から。先発防御率リーグ1位を誇る、12球団でも屈指のローテーションです。
- 床田寛樹:11先発 防御率2.56・8QS・70回(左腕として安定して支柱)
- 森下暢仁:11先発 5勝5敗 防御率3.88(右のエース格、上積みの余地あり)
- 岡本駿:10先発 5勝3敗 防御率2.34・5QS(今季ブレイクの若い右腕)
- 玉村昇悟:6先発 防御率1.89・5QS
- 栗林良吏:本来クローザーも先発転向し7先発 防御率1.15・6QS と圧巻
24歳・岡本、25歳・玉村という若い軸が育ってきているのも明るい材料です。
デプス・年齢構成

2軍にも先発候補がそれなりにそろっています。72回を防御率2.63で投げる佐藤柳之介を筆頭に、将来のエース候補斉藤優汰、そして昨季は1軍登板がなく一度戦力外となりながら育成再契約し先発に挑戦している河野佳が2軍で54回・防御率1.82と好投。若い候補が複数いるのは心強い材料です。ただ34歳の大瀬良大地は2軍では好投も1軍では打ち込まれており、世代交代の時期に差しかかっています。
FA・ポスティング

実は主力先発が次々とFA年限に入ってきます。床田はすでに今季国内FA権を取得済み、森下も今オフに取得見込み、栗林も来年27年オフに取得見込み。すぐ全員が出ていくとは思いませんが、ローテの軸が立て続けにFA年限を迎えるだけに、将来の流出に備えた継続的な補強が必要です。
1軍の質は文句なし、2軍にも候補がそろい、昨年のドラフトで大卒投手を4人指名済み。最優先ではないが、主力のFAが続くうえ先発を一切指名しない年もまず考えにくい。将来のローテ候補を中位で1枚確保したいことから、優先度はB。
救援 | 補強優先度:C

ブルペンも先発ほどではないものの十分に計算が立ちます。救援防御率3.11はリーグ4位。
- ハーン:26試合 20ホールド 防御率1.09(圧巻のセットアッパー)
- クローザーは森浦大輔とベテラン中﨑翔太で回す
- 髙太一:本来先発タイプも中継ぎで11ホールド・防御率0.93と飛躍
- 遠藤淳志:中継ぎで防御率1点台と好投
左右ともに計算できる投手がそろっています。
デプス・年齢構成

昨年まで勝ちパターンを担った島内颯太郎が今季は防御率8点台と苦しんでいるのは誤算ですが、2軍では黒原が防御率1点台と好投するなど、昇格を待つ投手も控えています。
FA・ポスティング

その島内が今オフにも国内FA権取得の見込み。不振とはいえ実績のある右腕だけに、去就には一応の注意が必要です。
左右の駒はそろい数字も安定しており、最優先で狙うポジションではありません。ただ勝ちパターンを担える即戦力リリーバーが一人いれば継投の層がさらに厚くなるだけに、中位以降で計算できる大学・社会人のリリーフを1人確保できれば理想。優先度はC。
捕手 | 補強優先度:S

ここからは野手。そして捕手こそ、今のカープにとって最大の補強ポイントです。坂倉将吾は58試合で打率.278・8本・38打点・OPS.830と、貧打にあえぐ打線の中心を担う数少ない打てる選手。ところがその坂倉が、今オフにも国内FA権の取得が見込まれています。もし流出すれば、打線の核と打てる捕手を同時に失うことになります。
球団も備えを進めており、2番手の持丸泰輝に今季すでに40試合で先発マスクを任せていますが、44試合で打率.221・4本と打撃はもう一つ、盗塁阻止率も.125と守備面でもやや苦しんでいる印象です。
デプス・年齢構成

持丸以外では守備型の石原貴規、ベテランの會澤翼が控えますが、坂倉のように打って引っ張れる捕手は見当たりません。2軍には髙木翔斗・清水叶人といった若手もいますが、1軍で計算できる段階にはまだ遠いのが実情です。
FA・ポスティング

最大の焦点はやはり坂倉のFA。2回目のスカウト会議でも白武スカウト統括部長が**「強打の捕手が最重要課題」と明言**しており、球団自身が最大の補強ポイントを捕手と位置づけています。
坂倉のFA流出リスク、打って引っ張れる後継の不在、そして球団の方針。すべてを踏まえれば、今年のカープが最優先で狙うべきは間違いなく強打の捕手。優先度は最も高いS。
内野手・二遊間 | 補強優先度:B

セカンドは球界を代表する名手・菊池涼介が、36歳の今も守りの要として君臨。52試合で打率.236と打撃でも一定の働きを見せますが、年齢を考えれば後継問題は避けて通れません。昨年ドラフトの大卒ルーキー・勝田にも期待がかかりましたが、ここまでは打撃が振るわず菊池を脅かすには至っていません。ショートは小園海斗が60試合に出場と不動のレギュラーながら、今季は打率.226・本塁打0と持ち味の打力を発揮できていないのが気がかりです。
デプス・年齢構成

矢野雅哉や辰見鴻之介ら守備・走塁型はいますが、打撃で計算できる選手は多くありません。一方で2軍に目を向けると、佐藤啓介が打率.360・3本・OPS.993、前川誠太も打率.286・3本と、打てる若手が結果を残しており1軍での台頭に期待がかかります。
FA・ポスティング

小園は28年オフごろに国内FA権取得の見込み。すぐにではありませんが、中長期では引き止めも意識しておきたいところです。
昨年のドラフトで二遊間タイプを2人指名しており優先度はそこまで高くありませんが、菊池の後継と打てる内野手を見据え、中位〜下位で素材型を1人押さえる価値は十分。優先度はB。
内野手・コーナー | 補強優先度:C

ファーストの中心は外国人のモンテロで、54試合6本・23打点と貧打のなかでは貴重な長打力。サードには一昨年のドラフト1位・佐々木泰がおり、44試合に出場と経験を積む段階で、将来の中軸を期待される存在です。捕手の坂倉がファースト・サードに入る試合も多く、仮にFA流出した場合の痛手は大きいだけに、佐々木にはなんとか1軍に定着してほしいところです。
デプス・年齢構成

2軍では林晃汰が打率.325と結果を残すものの1軍ではまだ。内田湘大や仲田侑仁ら若手も育成段階で、ベテランの堂林翔太も2軍が主戦場。長打力のあるコーナーがいるとは言いがたい状況です。
FA・ポスティング

コーナーの主力でFAが近い選手は見当たらず、当面は佐々木泰をどう育てるかが最大のテーマになります。
一昨年のドラフト1位で佐々木泰を獲得済みで、まずはその成長を見守る段階。最優先で狙う必要はありませんが、チーム全体の長打力不足を踏まえれば、一発を期待できるコーナータイプを余裕があれば中位以降で狙いたい。優先度はC。
外野手 | 補強優先度:両翼A/センターB

1軍の状況をポジションごとに見ていくと——
- レフト:新外国人ファビアンが30試合先発と半ば固定も、打率.189と低迷し計算できる打撃とは言えず。
- センター:俊足の大盛穂が38試合先発と中心も、打率.224で若手・平川蓮との併用が続く。
- ライト:名原典彦・中村奨成・野間峻祥の3人併用でレギュラーが固まっていない。
つまり外野は3ポジションとも、打って計算できるレギュラーが定まっていないのが現状です。ただその中でも名原は育成契約から支配下を勝ち取った苦労人で、右翼中心に17試合先発・打率.264・OPS.703と限られた出場でチーム上位の成績。ここから定位置をつかめるか、明るい材料として注目したいところです。加えて秋山翔吾・野間も38歳・33歳と高齢化が進んでいるのも気がかりです。
デプス・年齢構成

期待したいのは若手の伸び。田村俊介が2軍で打率.294・4本・OPS.821、平川も打率.343・OPS.924と、ファームでは打てる若手が複数結果を残しています。ただ1軍に定着しきれておらず、チーム全体の長打力不足ともあいまって、打てる外野手が手薄になっているのが現状です。
FA・ポスティング

秋山・野間はすでにベテランで、むしろ世代交代をどう進めるかという段階に入っています。
両翼はベテランの高齢化が進む一方、ファビアンを含め長打力のある選手が定着できずレギュラーが不明確。長打力不足も踏まえ、打って魅せられる両翼のスラッガーは上位で狙いたいことから両翼はA。センターは大盛が守走で中堅を任され2軍に平川という候補もいるため、緊急性は一段下げてB。
補強優先度まとめ

| ランク | ポジション |
|---|---|
| S | 捕手 |
| A | 外野(両翼) |
| B | 先発投手・外野(センター)・二遊間 |
| C | 救援・コーナー |
カープの現状は非常にわかりやすく、投手陣は12球団屈指の強さ、打線はリーグ最下位の深刻な貧打。今年のドラフトの最大のテーマは、とにかく打てる野手の補強です。なかでも坂倉のFAが絡む捕手は球団自身も最重要課題に位置づけており、最優先と言っていいでしょう。一方で、リーグ最強の投手陣を維持していくための次世代の先発確保も、決しておろそかにはできません。
理想のドラフト

方針は明確。とにかく打てる野手、とりわけ強打の捕手です。
- 1位|捕手:本命は青山学院大・渡部海。確かな守備に大学で中軸を務める打撃力を兼ね備えた即戦力で、カープにはまさにピンズドの存在。外せば先発の宮原(近畿大)も良いが、ここはセンタータイプの野手を1位に繰り上げるのも面白く、明治大・榊原、東京ガス・藤澤が候補。
- 2位|両翼の強打者:上位2枠を使って先に野手を確保したい。大阪商業大・春山、東北福祉大・佐藤、東日本国際大・黒田あたりが候補。
- 3位|即戦力投手:現実的に残るラインで、佛教大・野村、千葉商科大・吉川、パナソニック・柿本など。
- 4位以降:高校生投手を1人、素材型の二遊間を1人、即戦力リリーバーを1人。
即戦力で打線を底上げしつつ、数年後の主力も仕込む。 投手王国を活かしきるための、攻めのドラフトに期待したいところです。
リーグ最強クラスの投手陣を持ちながら、打線が足を引っ張り勝ちきれない——。だからこそ、今年のドラフトで打てる野手をどれだけ獲得できるかが、チームの浮沈を左右すると言ってもいいでしょう。
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