阪神タイガース 戦力分析 | ドラフトに向けた補強ポイントを徹底整理
リーグ上位を走る強い阪神タイガース。しかし内側を覗いてみると、主力の高齢化・FA・メジャー挑戦など、数年後を見据えて備えておきたいテーマがいくつも見えてきます。今回はドラフトに向けて、投手から野手までポジションごとに現状を整理し、将来どこに穴が潜んでいて、今年のドラフトでどこを厚くすべきかを分析します。最後に5段階評価での補強優先度ランキングと、理想のドラフト案までまとめました。
チーム全体の現状

まずはチーム全体の成績を数字で整理しておきましょう。
| 項目 | 成績 | リーグ順位 |
|---|---|---|
| 順位 | 33勝28敗1分(勝率.541) | 2位 |
| 先発防御率 | 2.87 | 2位 |
| QS率 | 61.3% | トップ |
| WHIP/K-BB%/被打率 | — | すべて1位 |
| 救援防御率 | 3.67 | 5位 |
| チーム打率・出塁率・OPS | .248 ほか | すべて1位 |
| 本塁打数 | 45本 | 3位 |
支えているのはまず投手陣、とりわけ先発です。QS率はリーグトップ、WHIP・K-BB%・被打率はいずれもリーグ1位と、四球を出さず安打も与えない質の高さが数字に表れています。一方で救援防御率はリーグ5位と、ブルペンは相対的に物足りません。
打線はチーム打率・出塁率・OPSがいずれもリーグ1位。四球を選ぶ力も高く、つなぐ意識の強い嫌らしい打線です。ただし本塁打は45本でリーグ3位と、一発の魅力で飛び抜けてはいません。
質の高い先発と、つないで得点する打線で勝つ。 これが今のタイガースの強さの正体です。
裏を返せば、いま現在は明確に弱いポジションが多くありません。そこで本記事では「今の穴」よりも、高齢化・FA・次世代の準備不足といった将来の補強ポイントを中心に掘り下げます。
先発投手 | 補強優先度:A

チームの生命線。1軍ローテーションは球界でも屈指の安定感を誇ります。
- 村上頌樹:12先発 5勝4敗 防御率1.84・11QS
- 髙橋遥人:10先発 8勝0敗 防御率1.07・9QS(今季は故障なく圧巻の成績)
- 才木浩人:11先発 5勝3敗 防御率3.69・8QS
- 大竹耕太郎:防御率2.41・6QS(勝ち星には恵まれないが内容は安定)
- 西勇輝:35歳ながら防御率2.40とローテを下支え
顔ぶれの質は文句なし。ただし見落としてはいけないのが年齢構成で、村上・才木の27歳を最年少に、髙橋・大竹・伊藤が30歳、西が35歳と、ローテ全体がやや高めです。
デプス・年齢構成

課題は次世代の有力なローテ候補の少なさです。21歳の門別啓人は2軍で11登板4勝1敗・防御率1.98と好投も、1軍では5登板・防御率4.50とまだ結果が出ず。20歳の今朝丸裕喜は2軍で防御率2.95も1軍登板なし。25歳の伊原陵人が3先発2勝を挙げたのは明るい材料ですが、防御率は4.38と昨季ほどの安定感はありません。1軍で計算できる若手先発が見当たらず、有望株の頭数自体もやや少ないのが正直なところです。
FA・ポスティング

今年・来年オフにFAしそうな先発はいませんが、注意したいのが才木のメジャー挑戦です。実力は球界トップクラスだけに、ここ数年で海を渡る可能性は十分。国内FAでも大竹・伊藤が28年、村上が29年と、27年以降は主力先発の流出が現実味を帯びてきます。
1軍ローテの質は申し分ないが、27歳未満が定着しておらずプロスペクトも少ない。そこに才木のポスティングや主力FAが重なれば一気に手薄に。即戦力性の高い先発を上位で確保したいことから、優先度は高めのA。
救援 | 補強優先度:B

阪神の一番の弱点と言えるのがここ。救援防御率3.67はリーグ5位で、先発が作った試合を締めきれない場面も目立ちました。
- ドリス:24試合 10S 防御率1.17(守護神)
- 岩崎優:18試合 9S 防御率1.02
- 湯浅京己:20試合 3勝 防御率2.79
- 工藤泰成:16試合 防御率1.56
計算が立つ投手は何人かいます。一方で苦しいのは、本来計算していた主力の離脱と不振です。石井大智はアキレス腱断裂で長期離脱、桐敷拓馬は防御率7.04と苦しみ、新外国人モレッタや及川雅貴も安定しません。頭数というより、主力の離脱・不振の多さこそが今のブルペンの弱点です。
デプス・年齢構成

加えて気がかりなのがクローザー周辺の高齢化。守護神ドリスは38歳、抑えを兼ねる岩崎も34歳と、いつ陰りが出てもおかしくありません。湯浅・工藤・岡留英貴ら20代右腕が次の軸に育つかが鍵で、信頼できる左の中継ぎが手薄な点も課題です。
FA・ポスティング

岩崎が来年にも国内FA権取得の見込み。35歳近いベテランではありますが、去就には一応の注意が必要です。
主力に離脱・不振が多く計算が立ちにくいうえ、クローザーの高齢化も進む。即戦力性の高い大学・社会人のリリーバー、できれば左腕を1人中位で確保したいことから、優先度はB。
捕手 | 補強優先度:A

ここからは野手。今季の1軍マスクは、正捕手格の坂本誠志郎(38試合・打率.210・14打点)、ベテランの伏見寅威(29試合・打率.192)、そして梅野隆太郎が出場機会を分け合う形です。守備とリードは申し分ありませんが、1軍の捕手3人がいずれもベテランの域に入っているのが大きな課題です。
デプス・年齢構成

若手では嶋村麟士朗や中川勇斗が1軍に出場するものの、代打や捕手以外での起用がメイン。藤田健斗らも控えますが、いずれも2軍が主戦場で1軍で計算できる段階には至っていません。頭数はいるが、ベテラン3人の後を任せられる存在が固まっていないのが実情です。
FA・ポスティング

梅野・坂本はすでに国内FA権を取得済み、伏見も2回目の取得となりそうですが、3人ともベテランで移籍の可能性は高くないでしょう。
ベテラン3人が元気なうちに次の正捕手候補を育てたいが、若手に機会を与えられていない。1軍にすぐ出ても戦力になれる、攻守に完成度の高い捕手がいれば優先したいことから、優先度はA。
内野手・二遊間 | 補強優先度:B

セカンドの中心は中野拓夢(62試合・打率.279・14打点)で、上位打線に欠かせない存在。一方でショートが固定できていません。木浪聖也が28試合、小幡竜平が24試合ショートで先発も、二人とも打撃不振。直近では熊谷敬宥が起用され、外国人ディベイニーも期待ほどではなく、ショートは現状ウィークポイントです。
デプス・年齢構成

二遊間タイプの在籍は多く年齢バランスも悪くありませんが、中堅以下に有力候補が乏しいのが気がかり。髙寺望夢は外野起用が中心、佐野大陽は1軍出場なし。2軍でショート起用の多い山田脩也は打率.217と苦しく、百﨑蒼生は3本塁打と長打を見せるもサード起用が多め。大卒ルーキー谷端もセカンドで45試合に出場するも打率.197・OPS.525と苦戦。現時点で計算できる二遊間の若手・中堅が見当たらないのが課題です。
FA・ポスティング

中野が来年27年オフに国内FA権取得の見込み。資金力的に流出は考えにくいものの、警戒はしておきたいところ。木浪は取得済みですが残留濃厚です。
若手が少ないわけではなく、2軍で次世代を育てる期間でもあるため優先度は他より一段下。ただ長くショートが固定できていない現状から、即戦力性の高いショートを中位で押さえる価値は十分。優先度はB。
内野手・コーナー | 補強優先度:C

球界を代表するスラッガーがいるポジション。サードの佐藤輝明は62試合で打率.357・15本・45打点・OPS1.109と文句なしの数字。ファーストの大山悠輔も60試合・打率.249・7本・33打点と勝負強い打撃でラインナップに重みを加えます。ルーキー立石正広も21試合で2本塁打と顔を出し始め、糸原健斗のような控えもいて、コーナーは現状かなり充実しています。
デプス・年齢構成

当面の戦力に不安はなく、中長期では立石の育成がテーマ。主力2人の後ろに純粋なコーナータイプは多くありませんが、阪神は二遊間タイプをサードに回す起用が特徴で、ファームでは百﨑・佐野らがサードで出場機会を得ています。内野を幅広く守れる選手を後継に含め、層の薄さを補っているのが実情です。
FA・ポスティング

見逃せないのが佐藤輝明の去就。国内FA権まで残り1年64日で27年オフに取得見込み、本人がメジャーを志せばポスティングで海を渡る可能性もゼロではありません。大山も国内FAまで残り2年程度と、主軸2人の将来は決して安泰とは言いきれません。
昨年のドラフトで立石・谷端というコーナータイプの強打者を2人指名済みで、次世代の補強には着手済み。今の戦力も厚いため最優先にする必要はなく優先度はC。ただし佐藤輝の動向次第で一気に補強ポイントへ変わり得るポジションです。
外野手 | 補強優先度:両翼B/センターC

ポジションごとに整理すると——
- ライト:森下翔太(62試合・打率.300・15本・35打点・OPS.943)が基本。立石がサードに入る試合は佐藤輝がライトに回るため、実質この2人でほぼ固定。
- センター:球団の顔・近本光司がケガで離脱し24試合のみ。穴を埋める髙寺は30試合で打率.225と物足りず、福島圭音やルーキー岡城も定着には至らず。
- レフト:さらに固定されておらず、福島・前川・髙寺、捕手登録の中川まで入れ替わりで起用。
ライトを除けばレギュラーがはっきり定まっていないのが現状です。
デプス・年齢構成

最大の課題はセンター候補。俊足の福島、ルーキー岡城、2軍で打率.311と打撃に強みを持つ井坪陽生など若い候補は一定数おり、昨年のドラフトでも近本の後継を見据えて岡城を指名。既存の若手に経験を積ませ、投資をしている期間とも言えます。
FA・ポスティング

近本は国内FA権を取得済みですが今季から5年契約で、当面流出の心配はありません。裏を返せば、近本が在籍するうちに次の中堅手を育てておかないと、契約満了とともに大きな穴が空くということでもあります。
両翼はレフトが固定できず、前川・井坪ら打撃型の若手も1軍で結果を残しきれていない。打てる外野手をレフトに据えれば打線にさらなる厚みが出るため両翼はB。センターは昨年岡城を指名し投資を始めていることもありC。ただし近本級の中堅手がいるなら指名も十分あり得ます。
補強優先度まとめ

| ランク | ポジション |
|---|---|
| A | 捕手・先発投手 |
| B | 救援・二遊間・外野(両翼) |
| C | 外野(センター)・コーナー |
タイガースは近年のドラフトでデプスを綺麗に整えており、補強の緊急度が高いポジションはほとんどありません。そのなかで優先したいのが捕手と先発。捕手はベテランの出場が極端に多く次世代づくりが急務、先発も1軍の質は高いが若手プロスペクトがやや少ない。いずれも強いうちに次の世代を仕込んでおきたいポジションです。救援は弱点になりつつあるものの、シーズン中の外国人補強やトレードで埋めやすく、ドラフトで最優先に行くポジションではないでしょう。
理想のドラフト

方針は明確で、1位は捕手、2位・3位は投手が理想です。
- 1位|捕手:本命は青山学院大・渡部海。確かな守備に加え、強豪・青学大で中軸を務める打撃力も併せ持つ即戦力で、今の阪神にはピンズドの存在。外せば外れ1位で即戦力投手(立命館大・有馬、近畿大・宮原、慶應大・渡辺)へ切り替え、3〜4位で大学・社会人の捕手を押さえる形に。
- 2位|即戦力先発:上位フィニッシュで指名順は後半になる想定。残っていれば駒澤大・仲井、東北福祉大・猪俣、大阪商業大・星野あたりが候補。
- 3位|高校生投手:未来の先発候補を1人。高岡第一・前田、大阪桐蔭・吉岡、智弁学園・杉本あたり。
- 4位以降:弱点のブルペンへ即戦力リリーバーを1人、守備に定評のある大学・社会人の二遊間を1人、両翼を任せられる打撃型スラッガーを1人。
即戦力で勝ちにいきつつ、数年後の主力もしっかり仕込む。 強いタイガースだからこそ実現できる理想的なドラフトを期待したいところです。
リーグ上位を走る強いチームですが、内側を覗くと捕手やブルペンの高齢化、主力のFAやメジャー挑戦など、数年後を見据えて備えたいテーマがいくつも見えてきます。今年どんな選手を指名するのか、非常に興味深いドラフトになりそうです。
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