淡々とした心境で臨んだ最後の登板
「正直言うと、特に何も思わないんですよね。ドラフト前といってもプレーに一切関係ないですし、そもそも僕自身にできることはないので何も意識してないです」。増居翔太は小気味よく淡々と打者を打ち取っていったこの日の投球のように、現在の心境を淡々と語った。
軸となる最速149キロの切れのある直球と変化球を制球よく投げ分ける左腕。球速以上に手元で伸びてくる直球が特徴的な技巧派として、プロからの評価も高まっている。
2度の指名漏れを乗り越えて
プロ志望届を提出した慶大4年時と社会人2年目だった昨年は、ともに指名漏れを経験した。しかし、昨年はドラフト会議直後の日本選手権で3試合に先発登板し、計24イニングを1失点で最高殊勲選手に選ばれる快挙を成し遂げた。
昨年は1球団のみだったプロからの調査書が、今年は複数球団から届いている。中日も注目しており、172cm70kgの左腕への期待は確実に高まっている。
甲子園での悲劇が人生を変えた
滋賀県内トップクラスの進学校・彦根東高では甲子園に2度出場した。2年夏は完投勝利を収めたが、全国的に注目を浴びたのは3年春の花巻東戦だった。
9回まで無安打無失点だったが、0-0のまま突入した延長10回にサヨナラ負けを喫した。悲劇のヒーローとなったが「僕の中で何かをつかんだということではないんですけど、結果的にその後の人生が変わった」と振り返る。周りが勉強で大学に進む中、「野球」で慶大への進学を決めた転機となった。
今永を目標とする投球スタイル
参考にするのは大リーグ・カブスで活躍する同じ左腕の今永昇太。高めの直球を駆使した投球の組み立て、空振りの取れる球の質は「目指すべきピッチング」という。今永を思わせるような長髪の風貌だが「そこは勝手に髪が伸びて、結果的にこうなりました」と笑みを浮かべた。
増居翔太のフォームや投球スタイルは元DeNAの今永投手に似ていると表現されることもある。技巧派左腕としての完成度は年々高まっており、プロでも即戦力として期待される存在だ。
秀才左腕の歩み
彦根東高という進学校出身でありながら、野球の道を選んだ増居翔太。慶應義塾大学を経てトヨタ自動車に入社し、社会人野球でも着実に成長を続けてきた。
大卒3年目となる今年、ついに複数球団からの注目を集めるまでになった。これまでの経験と実績が、ドラフト3度目の挑戦で実を結ぶ可能性は十分にある。
選手基本情報
| 項目 | 詳細 |
|---|---|
| 名前 | 増居 翔太(ますい しょうた) |
| 年齢 | 25歳 |
| ポジション | 投手 |
| 投打 | 左投左打 |
| 身長・体重 | 172cm・70kg |
| 出身校 | 彦根東高校→慶應義塾大学 |
| 所属 | トヨタ自動車 |
| 最速球速 | 149km/h |
| 得意球 | ストレート、スライダー、カーブ、チェンジアップ |
| 主な実績 | 日本選手権最高殊勲選手(2024年) |
運命の糸はつながっているのか。23日のドラフト会議で、"3度目の正直"が成就する日を待つ増居翔太。秀才左腕の挑戦は、いよいよクライマックスを迎える。
参考記事
- 中日新聞 2024年記事 - トヨタ・増居翔太のドラフト前最後の登板詳報