第108回全国高校野球選手権大会は8月18日の準々決勝を終え、ベスト4が確定した。勝ち残ったのは智辯和歌山、横浜、天理、健大高崎の4校。20日の準決勝は第1試合が智辯和歌山-横浜、第2試合が天理-健大高崎という組み合わせになった。
4校すべてが甲子園優勝の経験を持つ。決勝は22日で、準決勝との間に休養日が1日入る日程だ。

準々決勝は投手が支配した一日だった
4試合のうち2試合が完封、1試合が1点差という展開になった。打ち合いになったのは第2試合だけである。

第1試合の天理-三重は、天理の投手起用が試合を決めた。3回戦で158球を投げたエース長尾亮大(3年)をベンチに置いたまま試合に入り、先発を任されたのは背番号10の橋本桜佑(3年)。今大会初登板のサイドスロー左腕は9安打を許しながらも154球を投げ切り、三重に得点を与えなかった。打線は2回に主将で4番の金本相有(3年)が今大会2本目となる左越えのソロで先制。8回には相手の3失策を逃さず3点を加え、7-0で9年ぶりの4強入りを決めた。
第2試合は智辯和歌山が仙台育英を11-3で下した。3回戦で延長11回を戦った消耗が心配されたが、それを感じさせたのは最初の数分だけだった。初回、1番の長友悠成(2年)の三塁打を起点に4安打と3四死球を絡めて打者一巡の攻撃で5点。試合開始から15分ほどで主導権を握ってしまった。最終的に18安打11得点。先発の和気匠太(3年)が5回を1失点にまとめ、そこから複数の右腕をつないで逃げ切った。
第3試合の横浜-花巻東は、織田翔希(3年)の投球に尽きる。9回123球を投げて10奪三振の完封。しかも最速156キロを7度計測し、甲子園史上最速を先発しながら何度も更新していった。毎試合4点を取り続けてきた花巻東の得点パターンが、ついに封じられた試合でもある。横浜は2008年以来18年ぶりの4強進出となった。
第4試合の健大高崎-有明は0-0のまま延長へ入った。健大高崎の2年生エース石垣聡志は10回110球を5安打無失点。対する有明の斉藤遼汰郎(3年)も9回裏の2死満塁を三振で切り抜けるなど譲らなかった。決着がついたのは10回裏、2番の石田雄星(3年)が放った適時内野安打だった。健大高崎は夏としては初のベスト4である。
智辯和歌山 初回に試合を決めてしまう打線
チームの持ち味は、点の取り方の幅広さにある。3回戦の敦賀気比戦では8回に追いついて延長11回に一挙5点、準々決勝では逆に初回から5点。先行逃げ切りも逆転もできるチームだ。

3試合でチーム打率.324、20得点、35安打。攻守の軸は4番で捕手の山田凜虎(3年)で、この世代ナンバーワン捕手と評される存在だ。7番に座る川原一将(3年)は3回戦で同点打と延長の勝ち越し打を放っており、下位打線にも切れ目がない。
投手陣は準々決勝で5回1失点にまとめた和気が柱。球数を抑えて中1日を迎えられる点は小さくない。
横浜 150キロ超を3人並べられる投手力
4試合を戦って失点はわずか5、チーム防御率1.25。奪三振43という数字が投手陣の質を示している。

中心はもちろん織田だが、恐ろしいのは織田だけではない点だ。3回戦で先発を務めた2年生左腕の小林鉄三郎、遊撃手でありながら最速152キロを投げる池田聖摩(3年)が控える。1試合ごとに先発を代えても崩れない層の厚さがある。
打線も4試合で28得点、チーム打率.338。準々決勝では5番の江坂佳史(3年)が3安打を放ち、外野から本塁への好返球で同点機を摘む場面もあった。
第1試合は横浜が優位と見る
矛と盾の対決は、盾がわずかに上回ると予想する。

理由は3つある。1つ目は、強力打線であっても150キロ超の速球を打ち返すのは別の話だという点。毎試合4点を取ってきた花巻東ですら完封されている。2つ目は、仮に織田の状態が万全でなくても小林と池田で試合を作れること。投手を替えながら戦える相手は智辯和歌山にとって厄介だろう。3つ目は日程で、決勝まで1日空くため出し惜しみする理由がない。
懸念があるとすれば智辯和歌山の初回の集中力だ。準々決勝では試合開始から15分で5点を奪っている。中1日の織田が立ち上がりに捕まれば、一気に持っていかれる可能性はある。
天理 3試合すべてを1人で投げ切った
このチームの強みは、1人で9回を投げ切れる投手が2枚いることに尽きる。2回戦と3回戦は長尾が連続完投し、準々決勝は橋本が154球の完封。3試合すべてが完投勝ちである。

チーム打率.340は4校で最も高い。軸は主将で4番の金本で、準々決勝では先制ソロとダメ押しの適時三塁打を放ち、打撃の状態は上向いている。1番でDHの山中喜晴(3年)も3回戦で勝ち越しの犠飛と2点適時二塁打を記録した。
そして準々決勝で長尾が投げていない。3回戦の158球から数えても、この準決勝は中3日になる。
健大高崎 4試合で失点2、防御率0.24
4試合を戦って失点は2、自責点に至っては1しかない。1-0の試合を2つ勝ち切っているのだから、守り勝つ形が完全に確立されている。

中心にいる石垣は2年生ながら20回を投げて自責点0。1回戦では11奪三振の完投も記録している。加えて1年生左腕の大橋叡刀、4番左翼と投手を兼ねる佐藤麻恩(3年)ら複数の投手を起用できる。2回戦の東海大甲府戦(1-0)は佐藤、北田、石垣の3投手による完封リレーだった。
一方で打線は4試合で13得点と、他の3校に比べると迫力の面では見劣りする。1点をもぎ取って守り切るのがこのチームの勝ち方だ。
第2試合は投手の状態の差で天理

判断材料として最も重く見たのは、エースの登板間隔である。天理の長尾は準々決勝で登板がなく中3日。しかも仮に打たれても、完封したばかりの橋本が控えている。対する健大高崎の石垣は延長10回110球を投げた中1日だ。
もっとも健大高崎には大橋や佐藤といった投手がいる。石垣を使わずに試合を作り、終盤に投入する戦い方も十分にあり得るだろう。そうなればこの予想は簡単にひっくり返る。4試合で失点2という守備力は本物であり、天理打線がそう簡単に点を取れる相手ではないことも確かだ。
注目選手
| 選手 | 学年 | 所属 | ポジション | 今大会の内容 |
|---|---|---|---|---|
| 織田翔希 | 3年 | 横浜 | 投手 | 準々決勝で123球10奪三振の完封。最速156キロを7度計測し甲子園史上最速を更新 |
| 石垣聡志 | 2年 | 健大高崎 | 投手 | 20回を投げて自責点0。準々決勝は延長10回110球5安打無失点で完封 |
| 長尾亮大 | 3年 | 天理 | 投手 | 2回戦・3回戦を連続完投。3回戦は自己最多158球で10奪三振 |
| 山田凜虎 | 3年 | 智辯和歌山 | 捕手 | 4番で正捕手。この世代ナンバーワン捕手と評される攻守の軸 |
| 金本相有 | 3年 | 天理 | 内野手 | 主将で4番。今大会2本塁打、準々決勝は先制ソロと適時三塁打 |
| 池田聖摩 | 3年 | 横浜 | 内野手 | 遊撃手ながら最速152キロ。3人目の投手として計算できる |
4校のチーム成績
| チーム | 試合 | 打率 | 得点 | 安打 | 防御率 | 失点 | 奪三振 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 智辯和歌山 | 3 | .324 | 20 | 35 | 2.20 | 7 | 16 |
| 横浜 | 4 | .338 | 28 | 47 | 1.25 | 5 | 43 |
| 天理 | 3 | .340 | 20 | 36 | 1.67 | 5 | 27 |
| 健大高崎 | 4 | .306 | 13 | 38 | 0.24 | 2 | 24 |
準決勝は20日午前8時に第1試合、午前10時30分に第2試合が始まる。決勝は22日午前10時開始。156キロ右腕を擁する横浜が18年ぶりの頂点に手を伸ばすのか、それとも守り勝つ野球を貫いてきた健大高崎が初の決勝進出を果たすのか。注目の一日となる。