初の完封勝利
1年生の春季関東大会にベンチ入りし、早くからその存在は知られていたが、夏までは短いイニングを投げるだけだった。この秋から背番号1になったが、1回戦の専大付戦に先発して7回を投げて自責点2という成績。2回戦、3回戦は登板の機会がなかった。しかし金田優哉監督は準々決勝の日大三戦に先発に起用した。
仁禮パスカルジュニアは9回を投げて投球数は107。被安打6、四死球2、奪三振2で無失点。「完封は初めてです。気持ちがいいです」と仁禮パスカルジュニアは語る。「半信半疑の部分はありましたが、しっかり投げてくれました」と金田監督も評価する。
軟投派の持ち味
身長187センチの長身の左腕。しかし速球投手ではない。やや変則な投げ方からチェンジアップやカーブを多投し、球場のスピードガンも100キロ前後を表示することが多く、遅すぎて表示されないこともあった。「初見では打ちづらいと思います」と金田監督は言う。
2回表、この回の先頭打者である日大三の6番・松下寛大朗内野手(1年)に二塁打を打たれピンチを迎えるが、後続の打者に対し左翼手・蔦原悠太(2年)の好捕もあって、得点を与えない。
それでも日大三には甲子園で2本の本塁打を放った強打者の田中諒捕手(2年)がいる。「怖かったです」と仁禮パスカルジュニアは言う。4回、田中が放った打球は、センターのフェンス近くまで伸びたが、中堅手の目代龍之介(1年)が捕球する。仁禮パスカルジュニアの球が遅い分、最後のひと伸びが足りなかった。
強打者に遅い球を投げるのは勇気がいることだが、仁禮パスカルジュニアはバックの守りを信じて遅い球を投げ続け、内外野とも野手が好捕でそれに応えた。
自ら先制打も放つ
先取点は仁禮パスカルジュニアのバットから生まれた。2回裏一死二塁で9番・仁禮パスカルジュニアの打球は左中間を破る三塁打となり、二塁走者の池田大和内野手(2年)が生還した。「監督から真っ直ぐを打てと、言われていました」と仁禮パスカルジュニア。真っ直ぐのタイミングに合わせて振った打球が伸びて先制打になった。
5回裏、帝京は二死一塁から5番・木村のレフトへの打球を、太陽のせいか、日大三の左翼手が打球を見失い二塁打となって、追加点を挙げた。
日大三も次第に仁禮パスカルジュニアの球にバットが合いはじめ、7回表には連続安打も出たが、金田監督は「(相手は)代えない方が嫌だと思います」と考え、仁禮パスカルジュニアを続投させた。7回表のピンチも鈴木優吾捕手(1年)の好捕などがあり、無失点が続く。8回裏はその鈴木の適時二塁打で1点を追加する。
そして9回表、日大三はこの回先頭の2番・福井理仁外野手(1年)の左前安打に続き、3番・田中は四球で一、二塁のチャンスをつかむ。しかし左翼手の蔦原、一塁手の安藤丈二(2年)、遊撃手の木村と好守が続き無得点。帝京が3-0で日大三を破った。
成長途上の可能性
仁禮パスカルジュニアは父親がナイジェリア出身で母親は奄美大島の出身で本人は名古屋出身。愛知守山ボーイズの監督が帝京の出身で、帝京野球部の環境に憧れて入学した。
野球に限らず大半のスポーツはパワーとともに、体のバランスが重要だ。そうしたこともあり体の大きい選手は、育成するのに時間がかかる。けれどもしっかり育成すれば、可能性は広がっていく。仁禮パスカルジュニアはいま、その途上にある。それだけに、今大会のみならず、これからの成長が楽しみだ。
夏の甲子園準優勝校の日大三の敗戦という結果になったが、両チーム無失策の締まった好ゲームだった。勝った帝京は、準決勝で試合巧者の国士舘と対戦する。
選手情報
| 項目 | 詳細 |
|---|---|
| 名前 | 仁禮パスカルジュニア(にれい ぱすかるじゅにあ) |
| 学年 | 2年生 |
| ポジション | 投手 |
| 投打 | 左投左打 |
| 身長・体重 | 188cm・85kg |
| 出身校 | 帝京高校 |
| 出身地 | 愛知県名古屋市 |
| 特徴 | 軟投派の変則左腕 チェンジアップ、カーブを多投 球速は100キロ前後 初見では打ちづらいタイプ |
| 主な実績 | 1年春の関東大会にベンチ入り 2年秋から背番号1 秋季都大会準々決勝で日大三を完封勝利 1回戦で7回自責点2 初の完封勝利を達成 |
2年生ながら背番号1を背負い、準優勝校を完封した仁禮パスカルジュニア。長身を活かした投球と打撃で、今後の成長が期待される。
参考記事
- Yahoo!ニュース 2025年11月2日 - 帝京 夏の甲子園準優勝の日大三を破る!軟投派・仁禮パスカルジュニアが衝撃の完封勝利 【東京】