初球149キロで日大ベンチがどよめく
「おぉ」。日大ベンチから思わず感嘆の声が上がった瞬間だった。プレーボール直後の初球、正木悠馬の右腕から投じられた剛球はバックスクリーンに「149キロ」と表示された。147キロの2球目で二ゴロに打ち取ると、マウンド上で小さくうなずいた。
179cm78kgの体格から繰り出されるストレートは、初回から140キロ台後半を連発。デッドリフト200kg以上、ボックスジャンプ150cmという驚異的な身体能力に裏打ちされた球威で、格上の日大打線に立ち向かった。
「インスタで覚えた」ナックルカーブが新兵器
この日の正木悠馬が披露したのは、従来のフォーク、カーブ、2種類のスライダーに加えて新たに習得したナックルカーブだった。
「インスタグラムの動画を見て覚えました」
異色の習得方法で身につけた新変化球で三振を奪った瞬間、スカウト陣の視線がより一層熱くなった。独学で成長を続ける姿勢は、中学2年から高校まで米ワシントン州で過ごした異色の経歴とも重なる。
2023年秋以来の神宮で課題も露呈
しかし、2023年秋の入れ替え戦以来となる神宮のマウンドに対応しきれない場面もあった。3回までに5与四球を重ね、「自分の技術力の足りなさ。もっと最初から対応できていれば」と唇をかんだ。
それでも、遠投115m、50m5秒7の身体能力を活かした投球で5奪三振を記録。特に5回1死からの2者連続三振は、持ち前の才能の片りんを十分に見せつけた。
10球団スカウトが熱視線
この日は巨人、阪神をはじめとする10球団のスカウトが神宮球場に足を運んだ。中でもロッテ・菅野スカウトは「(指に)かかったときのボールが面白い。かかるボールの確率が高くなればもっと良くなる」と将来性を評価した。
正木悠馬は2023年春に東都大学野球4部で最優秀投手、ベストナインに輝いた実績を持つ。体重も秋に向けて3キロ増やすなど、確実にプロへの階段を上っている。
上智大学史上初の快挙へ
上智大学からNPB入りが実現すれば、同校史上初の快挙となる。「自分が挑戦できる一番高いレベルでやりたい」と揺るぎない思いを示す正木悠馬にとって、来月2日に開幕する東都3部リーグが最後のアピールの場となる。
「真っすぐの精度、キレとかそういった部分も全部、(10月23日の)ドラフトまでに伸ばしたい」
運命の日まであと2か月弱。東都3部という舞台から、プロ野球という頂点を目指す挑戦が続く。
異色の経歴が生んだ独特の成長過程
正木悠馬の野球人生は決して平坦ではなかった。豊海小2年から月島ライオンズで野球を始め、銀座中では練馬ボーイズに所属。しかし中2から父の仕事の都合で米ワシントン州へ移住した。
レドモンド高では複数の守備位置を経験し、上智大で投手に専念。1年春に救援でリーグ戦初登板を果たしてから、独学での技術習得を続けてきた。インスタグラムでナックルカーブを覚えるという現代的な学習方法も、こうした背景があってこそだろう。
選手基本情報
| 項目 | 詳細 |
|---|---|
| 名前 | 正木悠馬(まさき ゆうま) |
| 生年月日 | 2002年11月19日 |
| 年齢 | 22歳 |
| ポジション | 投手 |
| 投打 | 右投左打 |
| 身長 | 179cm |
| 体重 | 83kg(記事時点) |
| 出身 | 神奈川県横浜市 |
| 所属 | 上智大学 |
| 最速球速 | 153km/h |
| 得意球 | フォーク、カーブ、カット系スライダー、ジャイロスライダー、ナックルカーブ |
| 身体能力 | 遠投115m、50m5秒7、デッドリフト200kg以上、ボックスジャンプ150cm |
| 主な実績 | 2023年春 東都大学野球4部 最優秀投手・ベストナイン |
| 特徴 | 米国高校出身の異色経歴 独学で技術を習得する向上心 インスタで新変化球を覚える現代的学習法 |
今後の注目ポイント
9月2日開幕の東都3部リーグが、正木悠馬にとって最後のアピールの場となる。10球団が注目する中で、どこまで成長した姿を見せられるかが上智大学史上初のプロ野球選手誕生の鍵を握る。
特に課題となっている制球力の向上と、新兵器ナックルカーブの完成度が、ドラフト指名の可能性を左右することになりそうだ。
10月23日のドラフト会議まで残り2か月弱。東都3部という舞台から、プロ野球界への扉を開けるか。正木悠馬の挑戦に注目が集まる。
参考記事
- スポーツ報知 2025年8月26日 - 正木悠馬の交流戦登板詳報
- スポーツ報知 2025年8月26日 - 10球団スカウト視察とプロ志望届表明