読売ジャイアンツ 戦力分析 | ドラフトに向けた補強ポイントを徹底整理
リーグ最強クラスの投手陣を擁し、現在セ・リーグ2位と好位置につける読売ジャイアンツ。投手力で見れば文句なしの戦力ですが、その一方でベテラン主力の高齢化と、日本人の中軸不足という、将来への課題も抱えています。今回はドラフトに向けて、投手から野手までポジションごとに現状を整理し、どこに穴があり、今年のドラフトでどこを補強すべきかを分析します。最後に5段階評価での補強優先度ランキングと、理想のドラフト案までまとめました。
チーム全体の現状

まずはチーム全体の成績を数字で整理しておきましょう。67試合を終えて35勝30敗2分、貯金5でセ・リーグ2位と、優勝争いの一角にしっかり踏みとどまっています。
このチームを支えているのは、なんといっても投手陣です。チーム防御率2.91、救援防御率2.62、被打率.228、奪三振率(K%)22.3%と、失点に絡む主要な指標で軒並みリーグ1位。WHIPや被本塁打率もリーグ2位と、四球を出さず安打も長打も与えない、まさにリーグ最強の投手陣です。唯一の弱点を挙げるとすれば、先発のQS率がリーグ5位と長いイニングを投げ切れていない点ですが、それを強力なブルペンが帳消しにしています。
一方で打線は、見え方がはっきり分かれます。本塁打54本・盗塁49はいずれもリーグ1位、長打率もリーグ2位と、一発と機動力ではリーグ屈指の破壊力。ところが、打率・出塁率・OPS・得点はいずれもリーグ5位、さらに四球を選ぶ力と三振の多さはリーグ最下位と、率や効率の面では苦しい数字が並びます。
リーグ最強の投手陣と一発のある打線で2位につけているものの、長打力のわりに点が取れていない。 しかもその数少ない中軸を担うのがダルベック・キャベッジら外国人で、日本人の主軸が育ちきっていない。強いうちに次の中軸を仕込めるかが、今年のドラフトのテーマです。
先発投手 | 補強優先度:B

1軍ローテーションは、エースと若い力のバランスが取れています。
- 戸郷翔征:エース格。7先発で4勝1敗・防御率2.68とさすがの安定感
- 井上温大:25歳。11先発で5勝5敗・防御率2.55と左の若手が定着
- 竹丸和幸:24歳。11先発で5勝6敗・防御率2.96と、もう一枚の若い左腕
- ウィットリー:防御率2.61と外国人として計算が立つ
- 小笠原慎之介:今季ナショナルズ傘下から加入し、先発に加わった
さらに2軍では西舘勇陽が防御率0点台と支配的な投球を見せており、復帰すればローテはさらに厚みを増します。一方、田中将大は38歳、則本昂大は36歳と、ベテラン右腕の高齢化は進んでいます。
デプス・年齢構成

頭数という点では、山田龍聖や森田、育成の園田・花田など、先発を任せられる若手がそれなりにそろっており、心配の少ないポジションです。ただ、一つ気になるのが年齢構成です。育成にこそ20歳前後の若い投手がたくさんいるのですが、こと支配下に限ると22歳以下の投手が一人もいません。最年少は23歳と即戦力に近い投手は多いものの、これから腰を据えて育てていく一番下の世代が、支配下ではぽっかり空いてしまっています。
FA・ポスティング

差し迫ったFAで出ていく主力先発は見当たりません。ただ、田中将大・則本という2人のベテランの年齢を考えれば、数年単位では世代交代は避けて通れません。
若い先発が育ち、近年は即戦力路線に舵を切ってきた。投手力を継続的に維持するため、将来のローテを担う高校生投手は必ず1枚は確保しておきたい。優先度自体はBと低めだが、上位で本当に魅力的な高校生の好素材が残っているなら、思い切って指名するのも十分にありです。
救援 | 補強優先度:C

ここはリーグ最強と言っていい陣容です。救援防御率2.62はリーグ1位。
- マルティネス:抑えとして21セーブ・防御率1点台と君臨
- 大勢:27登板で19ホールド・防御率1.42
- 田中瑛斗:28登板で19ホールド・防御率0.38という驚異的な数字
- ここに23歳の田和廉、左腕の中川皓太・船迫大雅も加わり、勝ちパターンの厚みは12球団屈指
そしてもう一つ見逃せないのが、抑えのマルティネスが来季から日本人選手扱いとなる点です。外国人枠を使わずに最強の守護神を起用できるため、編成面でも非常に大きな意味を持ちます。
デプス・年齢構成

高梨雄平をはじめ左右の中継ぎがしっかりそろい、田和のように次の世代も育ってきています。ブルペンの層は文句なしに厚いと言えます。
FA・ポスティング

中川・高梨といった左腕のベテランはいるものの、差し迫った主力の流出は見当たりません。
リーグ最強のブルペンであり、最優先で狙う必要はない。将来を見据えて、下位で素材型のリリーバーを1人拾えれば十分でしょう。優先度はC。
捕手 | 補強優先度:B

今季の1軍マスクは、打てる正捕手格の大城卓三と岸田行倫が分け合う形です。大城は48試合で打率2割9分5厘・6本塁打・OPS.870と、捕手としては破格の打撃成績。岸田も40試合で打率2割6分台と堅実にマスクをかぶっています。一方、昨オフFAで加入した甲斐拓也は、本来正捕手として期待されながら、今季はここまで1軍出場1試合のみと出遅れています。
デプス・年齢構成

若手では25歳の山瀬慎之助が2軍でマスクをかぶっていますが、1軍で計算できる段階にはまだ至っていません。ベテランの小林誠司も37歳と高齢で、大城・甲斐の後を担う次世代の正捕手候補が固まっているとは言いがたい状況です。
FA・ポスティング

岸田が今オフ、国内FA権の取得が見込まれています。打てる大城とともにマスクを分け合う存在だけに、去就には注意が必要です。
大城・甲斐・小林と1軍の捕手はいずれも30代に入り、さらに岸田のFAも絡む。強いうちに、次世代の正捕手候補を1人、大卒もしくは高校生で確保しておきたい。優先度はB。
内野手・二遊間 | 補強優先度:C

ショートはルーキーから定位置をつかんだ泉口友汰が、54試合で遊撃のレギュラーに。打率は2割2分台とこれからですが、4本塁打と長打も見せています。セカンドには24歳の浦田俊輔が定着し、打率2割6分6厘・17盗塁と持ち味の走力を生かして上位打線で存在感を放っています。若い二遊間コンビが固まりつつあるのは、明るい材料です。
デプス・年齢構成

守備に定評のある門脇誠、ベテランの吉川尚輝に加え、2軍では20歳の石塚裕惺が打率2割9分台・3本・OPS.900と非常に楽しみな数字を残しており、将来のレギュラー候補です。二遊間を守れるタイプは育成も含めれば14人にのぼり、頭数という点ではまったく不足していません。
FA・ポスティング

ベテランの坂本勇人・吉川はすでにFA権を取得済みですが、いずれも巨人一筋で流出の心配は小さいでしょう。ただ、坂本は38歳と衰えが見え始めており、世代交代の時期に入っています。
泉口・浦田という若い軸が定着し、石塚をはじめ後ろに控える若手も豊富。ここを最優先で狙う必要性は低く、優先度はC。
内野手・コーナー | 補強優先度:B

一塁・三塁の中心を担っているのは外国人のダルベックで、65試合で11本塁打・OPS.789と長打力を発揮し、一三塁の両方をこなしています。気がかりなのは、日本人の強打のコーナータイプが手薄な点です。三塁ではレジェンド坂本勇人が起用されていますが打率は1割3分台と衰えは隠せず、増田陸やリチャードも長打の魅力はあるものの、まだ1軍に定着しきれていません。
デプス・年齢構成

2軍に目を向けても、コーナーを本職とする打って計算できる若手は多くありません。2024年のドラフトで指名した荒巻悠(24)も、2軍で打率2割1分3厘・OPS.566と、期待された活躍はまだできていないのが実情です。将来的に、ダルベックや坂本に代わる長打を期待できる三塁手・一塁手が欲しいところです。
FA・ポスティング

コーナーの主力で、FAが近い選手は見当たりません。坂本の衰えに伴う世代交代が、当面のテーマになります。
現状はダルベック頼みで、坂本の後継も決まっていない。チームの課題である打率・出塁率を底上げする意味でも、長打と出塁を兼ね備えた強打のコーナータイプを1人は指名しておきたい。優先度はB。
外野手 | 補強優先度:センターA/両翼B

ポジションごとに状況が分かれます。
- レフト・キャベッジ:66試合で12本塁打・OPS.704と、長打力でチームを引っ張る固定の軸
- センター・佐々木俊輔/松本剛:守備と走塁を絡めた併用。松本は打率2割8分・9盗塁とつなぎ役として機能するが、いずれも打線の中軸を担うタイプではない
- ライト・中山礼都/丸佳浩:併用でレギュラーが固まらず。かつての主軸・丸は今季打率1割6分台と苦しみ、世代交代の時期に
デプス・年齢構成

明るい材料は若手の充実です。22歳の浅野翔吾が2軍で打率3割3分・4本・OPS.906と打撃で結果を残し、1軍定着が待たれます。三塚琉生や皆川岳飛といった若手も2軍でOPS.770超と、打てる候補が複数おり、両翼は層が厚い。一方でセンターは、守備走塁型の併用で打てる主軸が不在のままです。
FA・ポスティング

丸はすでにFA権を取得済みのベテランで、むしろその後継をどう育てるかという段階。ほかに差し迫ったFAの主力もおらず、流出のリスクは小さいでしょう。
両翼はキャベッジ+若手で頭数はそろうが、長打の中軸は外国人で和製スラッガーは育ち切らず、将来を見据えれば打てる選手は欲しい=B。センターは守備走塁型の併用で打てる主軸が不在。チーム最大の課題である出塁力・中軸不足と直結する部分で、センターを守れて打てるタイプは今の巨人が最も必要とするピース=A。ここを埋められれば、外野の布陣はほぼ完璧に近づきます。
補強優先度まとめ

| ランク | ポジション |
|---|---|
| A | 外野・センター |
| B | 捕手・コーナー・先発・外野(両翼) |
| C | 救援・二遊間 |
はっきりしているのは、今年の巨人は野手を重視すべきドラフトになるということです。理由は3つ。1つ目は投手陣の整備が進み、マルティネスの日本人枠化で外国人枠にも余裕が生まれること。2つ目は打線の中軸を外国人が担い、日本人の主軸が育ちきっていないこと。3つ目は坂本・丸ら和製主力の高齢化です。本塁打・盗塁はリーグ1位の破壊力を持ちながら、出塁率と四球はリーグ最下位という極端な打線。だからこそ最優先すべきは、将来の中軸を担える、率を残せて出塁もできる打てる野手。なかでもセンターを守れる打てる選手を獲れれば、布陣はほぼ完璧になります。あわせて、支配下に22歳以下が一人もいない投手では、将来を見据えた高校生投手を別枠で1枚確保しておきたいところです。
理想のドラフト

投手の整備が進んだ今だからこそ、上位は思い切って打てる野手を中心に固めるドラフトを提案します。
- 1位入札|将来の中軸スラッガー:本命は菰田陽生(山梨学院・投打二刀流・最速152km)。打者としての将来性は球界屈指で、最も欲しい「打てる中軸」候補。競合を覚悟で入札したい。
- 外れ1位|センター補強:榊原七斗(明治大・本職センターの強打左打者)か、藤澤涼介(東京ガス・規格外のパワーと強肩の大型外野手)。丸の後継として外野の課題を一気に埋められる。
- 2位|将来有望な高校生投手:支配下22歳以下ゼロの穴を埋める1枚。杉本真滉(智弁学園・最速149km左腕)、前田侑大(高岡第一)、丹羽涼介(市和歌山・最速151km)。
- 3位|素材型の大卒投手:吉川凌平(千葉商科大・最速151km)、木口永翔(上武大)、野村亮輔(佛教大)など、即戦力に近い力を持つ大学生投手。
- 4位以降:次世代の正捕手候補となる高校生捕手、即戦力のリリーバー、両翼を担える打てる外野手を1人ずつ。このあたりを補強できれば、理想的なドラフトとなります。
投手最強の今だからこそ、野手に振り切って数年後の中軸を仕込む。 それが、さらに上を目指す巨人にとって理想的なドラフトです。
リーグ最強の投手陣を持ちながら、課題は和製打線の中軸と出塁力。強いうちに次の世代、とりわけ次の中軸を仕込めるかが、巨人がさらに上へ行くためのカギになります。今年どんな選手を指名するのか、非常に楽しみなドラフトになりそうです。
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