中日ドラゴンズ 戦力分析 | ドラフトに向けた補強ポイントを徹底整理
セ・リーグ最下位に沈む中日ドラゴンズ。しかしチーム成績の中身を見ていくと、順位ほど戦力は悪くないというのが面白いところです。ではなぜ最下位なのか――。今回はドラフトに向けて、投手から野手までポジションごとに現状を整理し、どこに穴があり、今年のドラフトでどこを補強すべきかを分析します。先日行われた2回目のスカウト会議の情報も交えつつ、最後に5段階評価での補強優先度ランキングと、理想のドラフト案までまとめました。
チーム全体の現状

まずはチーム全体の成績を数字で整理しておきましょう。66試合を終えて23勝42敗1分、借金19でセ・リーグ6位に低迷しています。ただ、その中身を見ていくと印象は少し変わってきます。
まず打線は意外と悪くありません。本塁打47本はリーグ3位、OPS・出塁率もリーグ3位、得点もリーグ4位、そして四球を選ぶ力はリーグ1位と、得点に絡む指標の多くで上位につけています。長らく貧打のイメージがあった中日ですが、今季は一定の得点力を取り戻しつつあります。一方で課題もはっきりしており、打率はリーグ4位、三振の多さは5位、盗塁数はリーグ最下位と、率や機動力の面ではもう一押しが欲しいところです。
投手陣は数字の見え方が分かれます。FIP・QS率・被本塁打の少なさはいずれもリーグ2位と内容は悪くないのに、実際のチーム防御率は3.45でリーグ5位、そして救援防御率に至っては3.79でリーグ最下位。指標の良さほど失点を防げておらず、とりわけリリーフが試合を壊してしまっています。
長打力と先発の質はいうほど悪くないのに、リリーフの崩壊と勝負どころの弱さで星を落としている。 これが今の中日です。
先発投手 | 補強優先度:A

1軍ローテーションは、若さとベテランのバランスが取れています。
- 金丸夢斗:一昨年ドラ1。ルーキーイヤーながら12先発 防御率2.48・9QS・76回と即戦力左腕として定着
- 柳裕也:防御率2点台・二桁QSと安定感抜群
- 大野雄大:37歳ながら防御率2点台と衰え知らずのベテラン左腕
- マラー:7先発で防御率3.20とまずまず
- 髙橋宏斗:本来エース格も今季は防御率4.86と苦戦。53回58奪三振と力は健在も、以前の投球はできず
中西聖輝・櫻井頼之介ら若い右腕も健闘していますが、ローテの軸になるにはもう少し経験が必要です。
デプス・年齢構成

頭数こそいるものの、中身には不安が残ります。2軍で多くのイニングを投げているのは39歳・涌井、35歳・松葉といったベテランが中心で、若手で結果を残せている投手は多くありません。20歳の福田幸之介が防御率2点台と健闘していますが、松木平は防御率8点台、井上は制球に苦しむなど、将来のローテを担うべき若手の多くがまだ結果を出せていないのが実情です。
FA・ポスティング

差し迫った流出はありません。柳は海外FA権が近づいていますが3年契約で残留濃厚。ただより長い目で気がかりなのが髙橋宏斗で、本来は球界を代表する右腕だけに、ここ数年のうちにポスティングで海を渡る可能性も十分。加えて大野・涌井・松葉とベテラン左腕陣の高齢化も進んでいます。
金丸の定着は収穫だが、髙橋宏斗が力を出せず、2軍にもすぐ計算できる若手先発が乏しい。そこに柳やベテランの高齢化が重なれば、ローテは一気に手薄に。スカウト会議でも即戦力左腕に強い関心が示されており、優先度はA。
救援 | 補強優先度:A

ここが今の中日にとって一番の弱点です。救援防御率3.79はリーグ最下位で、試合終盤の失点がそのまま負けに直結しています。もちろん計算できる投手もいます。
- 松山晋也:抑えとして9セーブ・防御率1.76
- 藤嶋健人:最多登板で防御率1.78・6ホールド
- 橋本侑樹:左腕で防御率0.75・6ホールド
- 吉田聖弥:若い左腕が19登板・防御率0.51・6ホールドと台頭
デプス・年齢構成

問題はブルペン全体の層の薄さです。本来勝ちパターンを担えるはずの清水達也が防御率二桁と大不振、新加入の杉浦や勝野も安定せず、勝ちパターンに次ぐ、中盤を任せられる投手が極端に足りていません。野手から投手に再転向した根尾の挑戦も続いていますが、まだ計算できる段階には至っていません。
FA・ポスティング

ここがさらに頭の痛いところで、セットアッパーの藤嶋、本来主力の清水がそろって今オフ国内FA権の取得が見込まれています。ただでさえ薄いリリーフから主力が抜ければ、ブルペンはさらに苦しくなりかねません。
勝ちパターンを任せられる即戦力リリーバーを中位でしっかり確保したい。先発・救援含め、投手の補強は必須。優先度はA。
捕手 | 補強優先度:C

明るい材料が出てきたポジションです。今季ブレイクした石伊雄太が打率2割7分台・5本塁打と、打てる若手捕手として正捕手格に定着しつつあります。打撃で計算できる捕手は、近年の中日にとって貴重な存在です。
デプス・年齢構成

2軍では同じく26歳の石橋康太が打率2割3分・3本・OPS.772と長打を見せ、22歳の山浅・日渡ら若手も控えます。ただ一方で、木下・加藤・宇佐見といった経験豊富な捕手はいずれも33歳以上と高齢化しており、支配下の捕手も6人と頭数に余裕があるわけではありません。
FA・ポスティング

加藤・宇佐見が今オフFAの可能性はありますが、いずれも控えで流出のダメージは限定的でしょう。
石伊の台頭で正捕手のメドは立ち最優先ではないが、ベテラン3人が高齢で支配下も6人。良い高校生・大学生の捕手がいれば中位〜下位で1人指名しておきたい。優先度はC。
内野手・二遊間 | 補強優先度:C

ショートは村松開人、セカンドは田中幹也と、1軍は徐々に顔ぶれが固定されてきています。村松は出塁能力に持ち味があり、遊撃のレギュラーとして計算が立ちます。
デプス・年齢構成

ここが中日の大きな特徴で、二遊間タイプの選手が非常に多く在籍しています。その数は支配下だけで11人、育成も含めれば14人にのぼり、3軍を持たない球団の中では最も多い人数です。2軍にもルーキーの新保、高卒プロスペクトの中村奈一輝、かつて期待された土田など候補がずらり。正直なところ、戦力の余剰感は否めません。
FA・ポスティング

FAが近い主力は見当たらず、当面はこの豊富な戦力の中でレギュラー争いが続いていきます。
これだけの人数がそろっている中でさらに指名しても、お互いの出場機会を奪い合ってしまうだけ。優先的に狙う必要性は低く、優先度はC。
内野手・コーナー | 補強優先度:B

カギを握るのが24歳の石川昂弥。一塁と三塁を兼ねながら打率2割6分台・5本塁打・OPS.796、2軍でもOPS.814と長打力を発揮しており、将来の中軸として1軍定着が期待されます。三塁は福永・高橋周平、ユーティリティの板山(5本・OPS.820)が脇を固めますが、一塁は外国人ボスラー・サノーが本来の長打力を発揮できず、ベテラン阿部が穴を埋めている状況です。
デプス・年齢構成

若い純粋なコーナータイプがかなり少ないのが気がかりです。石川昂弥こそいるものの、それ以外は2軍で多く起用される森駿太と育成の石川大峨くらい。その森駿太も2軍で打率1割2分1厘・OPS.393と打撃に苦戦しており、次世代のコーナー候補が育っているとは言いがたい状況です。さらに2軍では二遊間タイプが一塁に入ることも多く、本来コーナーで育てたい若手の枠を使ってしまっているのは少しもったいない印象です。
FA・ポスティング

主力でFAが近い選手は見当たらず、石川昂弥も2031年オフでまだ先。中長期の心配は小さいでしょう。
石川昂弥に続く純粋な次世代コーナーがほとんどいない。チームの長打力底上げの意味でも、強打のコーナーがいれば中位〜下位で1人は指名しておきたい。優先度はB。
外野手 | 補強優先度:センターB/両翼B

1軍のレギュラーはしっかりそろっています。
- レフト・細川成也:ほぼ全試合に先発し完全に固定。チーム最多9本・OPS.744と長打の中心
- センター・岡林勇希:序盤を怪我で離脱も6月に復帰すると打率3割超とさすがの成績で、軸が戻ってきた
- ライト・鵜飼航丞:今季ブレイク。中堅とも兼ねながら多くの試合に出場し、5本・OPS.721とようやく長打力を発揮
デプス・年齢構成

これがなかなか層が厚い。同じく怪我で離脱中の上林誠知は復帰すれば中軸を担えるレギュラー格で、戻ればさらに選択肢が増えます。昨年指名の花田旭も2軍で打率2割7分・3本と経験を積み、育成の福元悠真も2軍で打率3割3分・OPS.819と打撃で結果を残しており、外野は決して手薄ではありません。気がかりは40歳を超えた大島の高齢化と、主力に怪我が多いことくらいです。
FA・ポスティング

細川が28年オフ、岡林も29年オフごろに国内FA権取得の見込み。すぐにではありませんが、ともに打線の柱だけに中長期では引き止めを意識しておきたい選手です。
レギュラーはそろい、上林の復帰や花田の成長もあって層は割と厚く緊急性は高くない。ただ主力に怪我が多く大島の高齢化も進むだけに、打って計算できる外野手がいればセンターでも両翼でも中位で1人。優先度はともにB。
補強優先度まとめ

| ランク | ポジション |
|---|---|
| A | 救援・先発投手 |
| B | コーナー・外野 |
| C | 二遊間・捕手 |
中日の現状は、最下位という順位ほど戦力が悪いわけではありません。にもかかわらず勝ちきれない最大の理由が、投手の層の薄さ、とりわけ救援の崩壊です。だからこそ、今年のドラフトでまず手を打つべきは次世代の先発ローテ候補と即戦力リリーバー。そのうえで、ポジション問わず打撃力に定評のある野手を加えていく――これが最下位脱出への現実的な道筋だと言えるでしょう。
理想のドラフト

先日のスカウト会議では、中日は約200人の候補をリストアップしているとされ、その中で堀中スカウト部長が真っ先に名前を挙げたのが関西大の左腕・米沢友翔。自軍のルーキー・金丸と「同等に近い評価」だと語り、スカウト部を総動員して視察しているとも報じられています。上位での即戦力投手指名が、一つの軸になりそうです。
- 1位|即戦力投手:本命は米沢友翔(関西大・左腕・最速149km)。関学大戦で1安打完封13奪三振、金丸の2学年後輩。外せば鈴木泰成(青学大・154km・リリーフ実績)、有馬伽久(立命館大・左腕)へ。
- 2位|打てる野手:打線を底上げできる強打者を。春山陽登(大商大)、黒田義信(東日本国際大・通算43本)、佐藤悠太(東北福祉大・選手権MVP)あたり。
- 3位|即戦力リリーバー:最大の弱点を補強。馬場拓海(日体大・150km)、磯貝和賢(Honda・157km)、先発兼で吉川凌平(千葉商科大・151km)も面白い。
- 4位以降:将来のローテを担う高校生投手(丹羽涼介/林晃成)、高校生・大学生の捕手(西野啓也/内藤蒼)、大島の後継となる俊足のセンター候補(柴崎聖人/中津大和)。
即戦力で勝ちにいきつつ、数年後の主力も仕込んでいく。 それが、最下位からの巻き返しを目指す中日にとって理想的なドラフトです。
最下位とはいえ、長打力も先発の質も悪くない。あとはリリーフを整備し、勝負どころで競り勝てるようになれば、順位は一気に変わってくるはずです。今年どんな選手を指名するのか、非常に興味深いドラフトになりそうです。
皆さんは中日にどんな選手を獲ってほしいですか?当チャンネルが運営する「ドラフトウォッチ」では、自分だけのドラフト予想を作って投稿できます。ぜひ予想を投稿して、一緒にドラフトを楽しんでいきましょう。