東京ヤクルトスワローズ 戦力分析 | ドラフトに向けた補強ポイントを徹底整理
昨年はダントツの最下位に沈んだ東京ヤクルトスワローズ。ところが今季は、ここまでリーグ3位と見事に上位戦線へ食い込んでいます。しかも今オフには、チームの絶対的な主軸だった村上宗隆がメジャー(ホワイトソックス)へ移籍。その大黒柱が抜けた穴を抱えながらの躍進です。突出した強みがあるわけではないものの、大きな弱点もない――そんな「全員野球」で巻き返してきたチームを、投手から野手までポジションごとに整理し、どこに穴があり、今年のドラフトでどこを補強すべきかを分析します。最後に5段階評価での補強優先度ランキングと、理想のドラフト案までまとめました。
チーム全体の現状

まずはチーム全体の成績から。69試合を終えて37勝31敗1分、貯金6でセ・リーグ3位と、昨年の最下位から確かな手応えをつかんでいます。
打線は全体的に「中の上」でまとまっています。打率はリーグ3位、盗塁数はリーグ1位と、出塁と機動力に持ち味があります。一方で、本塁打はリーグ4位止まりで、村上が抜けた影響もあり、一発の長打力ではやや見劣りします。それでも特定の主軸に頼り切るのではなく、全員でつないでいくバランス型の打線です。
投手陣もまた「平均点型」です。チーム防御率はリーグ4位、先発防御率も4位、救援防御率は3位と飛び抜けてはいませんが、四球の少なさやWHIP、QS率、被打率はいずれもリーグ3位と、制球と安定感でまとめています。突出した支配力はないものの、大崩れもしない投手陣です。
村上という絶対的な中軸を失いながらも、出塁・機動力と安定した投手陣を軸に、全員野球で最下位から3位まで駆け上がってきた。 これが今のヤクルト。だからこそ今年のドラフトでは、抜けた村上の穴=打線の長打力をどう埋めるかが、大きなテーマになります。
先発投手 | 補強優先度:A

今季の収穫は、なんといっても若い先発の台頭です。
- 山野太一:27歳。12先発で7勝2敗・防御率2.21・9QSと、左腕のローテの軸に成長
- 奥川恭伸:25歳。かつてのドラ1が防御率2.71と、ようやく本格的に計算が立ち始めた
- 松本健吾:27歳。防御率2.52・5勝1敗と安定
- 高梨裕稔:35歳。5勝・防御率2点台とベテランの味
吉村貢司郎も含め、ローテの頭数自体は足りています。
デプス・年齢構成

問題は年齢構成です。山野・奥川・松本の20代の軸は育ってきたものの、その後ろを支えるのが小川泰弘(36)・高梨(35)・石川雅規(46)といったベテラン中心。2軍でも青柳やウォルターズが投げる一方、中村優斗・山崎太陽・坂本拓己ら支配下の若手は、まだ1軍で結果を残せていません。次の世代がほとんど育っていないのが実情です。
FA・ポスティング

差し迫って出ていく主力の先発は見当たりません。ただ、ベテラン3枚の高齢化を考えれば、世代交代は数年単位では避けて通れません。
若い軸は育ってきたが、その後ろはベテラン依存で次世代が乏しい。数年後を見据えれば、将来のローテを担う投手の確保は急務。優先度はAで、上位で伸びしろの大きい好素材を狙いたい。
救援 | 補強優先度:B

救援防御率3.07はリーグ3位と、相対的に計算が立っています。
- キハダ:左腕の抑えとして18セーブ
- 星知弥:セットアッパーとして28登板・18ホールド・防御率2点台
- 清水昇:防御率0.92の右腕
- ここに丸山翔大、リランソ(防御率0点台)も加わり、勝ちパターンに大きな穴はない
デプス・年齢構成

中堅・若手も一定数おり、頭数そのものに不足はありません。
FA・ポスティング

ここが気がかりです。セットアッパーの星はすでに国内FA権を取得済み、守護神格の清水も今オフの取得が見込まれ、左腕の田口麗斗も取得済み、大西広樹も来オフには取得見込み。勝ちパターンを支える投手が、相次いでFA資格に到達しつつあります。
勝ちパターン自体は計算が立つが、星・清水・田口とFA絡みの投手が多く、ここから一気に手薄になるリスクをはらむ。将来に備えて、計算できる即戦力〜素材型のリリーバーを中位で1人。優先度はB。
捕手 | 補強優先度:B

長年正捕手を務めてきた**中村悠平(36)が、今季も扇の要として存在感を放ちますが、年齢的に出場数は管理されつつあります。その後継として台頭してきたのが古賀優大(28)**で、42先発・打率2割7分5厘と打撃でも計算が立ち、正捕手格に近づいています。20歳の鈴木叶も経験を積んでいます。
デプス・年齢構成

支配下の捕手は7人。ただ、1軍のマスクは中村・古賀に集中し、その他は松本直樹・柿沼友哉といった30代の控えが中心です。中村の後を完全に託せる、絶対的な正捕手はまだ固まっていません。
FA・ポスティング

中村は取得済みのベテランで、むしろ後継をどう育てるかの段階。差し迫った主力捕手の流出は見当たりません。
古賀の台頭は明るい材料だが、中村が36歳と高齢で、次世代の柱がもう一枚欲しい。良い高校生・大学生の捕手がいれば中位〜下位で1人。優先度はB。
内野手・二遊間 | 補強優先度:C

ショートは25歳の長岡秀樹が先発53試合とレギュラーに定着。打率は2割3分台と苦戦しつつも、守備の安定感が持ち味です。セカンドは固定に至らず、打てる捕手としても知られる内山壮真(24)、伊藤琉偉、ユーティリティの武岡龍世らの併用が続いています。内山は2軍でOPS.908と打撃の評価が高く、今後が楽しみです。
デプス・年齢構成

二遊間を守れるタイプは支配下だけで12人と非常に多く、赤羽由紘や田中陽翔ら若手も控えます。頭数という点ではまったく不足していません。
FA・ポスティング

かつての主軸・山田哲人(34)は今季1軍出場がなく世代交代の時期。ただ、宮本丈が今オフFA見込みではあるものの、長岡・内山ら若い軸の権利取得はまだ先で、流出リスクは小さいでしょう。
長岡という軸があり、内山をはじめ若い候補も豊富。ここを最優先で狙う必要性は低く、優先度はC。
内野手・コーナー | 補強優先度:B

長年三塁の主軸を担った村上が抜けた穴は、決して小さくありません。一塁は外国人のオスナが中心ですが、34歳という年齢もあって打率2割2分台と、かつての打棒からはやや陰りが。三塁は、**昨年ドラフト1位の松下歩叶(23)**が武岡・赤羽らとの併用の中で経験を積んでおり、後継のメドが全く立っていないわけではありません。
デプス・年齢構成

2軍に目を向けても、松下に続く純粋なコーナータイプは多くありません。本塁打がリーグ下位という数字どおり、長打力の底上げは引き続きの課題です。
FA・ポスティング

オスナの去就など外国人の動向はあるものの、国内のFAで主力が抜ける心配は小さいでしょう。
足りていないポジションではあるが、昨年、松下を1位で獲得しているだけに最優先ではない。強打のコーナータイプを中位で押さえられれば理想的。優先度はB。
外野手 | 補強優先度:センターA/両翼A

1軍の顔ぶれそのものは、決して悪くありません。
- レフト・サンタナ:66試合で13本塁打・OPS.885と、村上の抜けた打線で数少ない長打の中心
- センター・岩田幸宏:先発52試合。打率2割6分台に19盗塁と、俊足を生かしたリードオフマン
- ライト・増田珠/丸山和郁:併用。丸山は打率3割5分台・OPS.885と出場機会の中で打ちまくる
デプス・年齢構成

ところがデプスを見ると事情が変わります。長打の中心サンタナは34歳、塩見も33歳、好調のモンテルも外国人と、1軍の主力がベテランと外国人に大きく偏っています。一方で、将来を担うべき日本人の若手外野手は20歳のモイセエフくらいで、後がほとんど続きません。丸山・増田もすでに27歳です。
FA・ポスティング

差し迫った主力の流出は見当たりません。ただ、長打の中心がサンタナという年齢を考えれば、その後継は早めに用意しておきたいところです。
両翼はサンタナが13本を放つが34歳で、後継の和製スラッガーが育っていない。センターも岩田が俊足の出塁役で、打って中軸を張れるタイプは不在。村上の穴を埋める意味でも、センター・両翼を問わず若くて強打の外野手を上位で。優先度はともにA。
補強優先度まとめ

| ランク | ポジション |
|---|---|
| A | 外野(センター・両翼)・先発投手 |
| B | コーナー・捕手・救援 |
| C | 二遊間 |
今年のヤクルトのテーマは、村上というメジャー級の中軸が抜けた穴=「長打力」をどう埋めるかです。本塁打は下位、一方で出塁率や機動力は上位。つなぐ力はあるのに、最後に一発で返す力が足りていない。加えて外野は主力がベテランと外国人に偏り、若い日本人の柱が不足しています。だからこそ最優先すべきは、将来の中軸を担える若くて強打の外野手と、ベテランに頼る先発陣の世代交代を担う若い投手。あわせて、松下に続く強打のコーナーや、中村に続く次世代の正捕手づくりも進めておきたいところです。
理想のドラフト

- 1位入札|中軸スラッガー+二刀流:本命は菰田陽生(山梨学院・二刀流・最速152km・高校通算34本)。将来の中軸を担う強打者であり、投打の二刀流として先発でも期待でき、打線・投手陣の両方に厚みを加えられる目玉。外れれば、センター補強で榊原七斗(明治大)か藤澤涼介(東京ガス)へ。
- 2位|即戦力の先発投手:星野世那(大阪商業大・左腕)、猪俣駿太(東北福祉大・最速155km)。リリーフ起用も睨むなら馬場拓海(日本体育大)。
- 3位|打てる野手:佐藤悠太(東北福祉大・選手権MVP)、黒田義信(東日本国際大・通算43本)、杉崎成(JR東日本・パンチ力ある一番打者)。
- 4位以降:即戦力リリーバー(広池浩成/西平晴人)、将来の高校生投手(鈴木悠悟/古川稟久)、高校生捕手(内藤蒼/後藤幸樹)。
上位で打てる野手と次世代の投手を固めつつ、下位で不足のピースを補う。 これが、最下位から一気に浮上したヤクルトにとって理想的なドラフトです。
昨年最下位から3位へ。村上という大黒柱を失いながらも、全員野球で上位に食い込んできたヤクルト。あとは村上の穴=長打力を埋め、ベテランに頼る投手陣に次の世代を仕込めれば、さらに上が見えてきます。今年どんな選手を指名するのか、楽しみなドラフトになりそうです。
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